ギターやベースをやっていると、「あんな音がほしい」「でも、ここではこんな音を鳴らしたい」とエフェクターをついつい集めがち。
集めたエフェクターは足元に並べて、好きな時に好きな音色に切り替えよう!とエフェクターボードを組み上げる。
エフェクターボードをしっかり組み上げてしまえば、練習でも本番でもサッと広げるだけですぐに準備が完了する。
実に機能的。
実際に私もエフェクターボードを組み上げて使用しており、周りのバンド仲間も例外なく持っています。打ち上げでもエフェクターボードの話になることは多々あります。バンドマンは他人のエフェクターボードを眺めるだけでも幸せを感じることができる生き物です。
しかし、何度かエフェクターボードを構築している内に、不便さを無視することができなくなってきました。
接着方法がよろしくない
一般的なエフェクターボードは、エフェクターボードにマジックテープを貼って、ボードとエフェクターを固定します。マジックテープなら固定したとしても、新しいエフェクターを購入したときなど、並び替えたい時に再度配置換えすることができるのが特徴です。
しかし、この一般的な『マジックテープでくっつける』という部分で度々問題が生じていました。
問題点1. 移動中に剥がれる
マジックテープは”それなりに”強い力がかからないと剥がれません。
ですが、移動中に”それなり”以上の力がかかることは珍しいことではありませんでした。
せっかく自分が踏みやすい位置や狙った音色をセットしたつまみだったのに、いざ目的地で開けてみたら無残な状況だったということは一度や二度ではありませんでした。
問題点2. 熱に弱い
2018年の夏は記録的な暑さの日が続きました。こういう暑い日は、マジックテープを止めている両面テープの粘着成分が変質して溶けてしまうことが多々あります。そして、記録的な気温ではなくても車内に置いていても粘着成分が変質してしまうことがあります。
職場からそのまま練習へ~と思って機材を持ち運んでいたら、スタジオで『あああああ~~~』という悲鳴をあげることになった人も少なくないでしょう。私もその一人です。
問題点3. 剥がすとトラブルが起こる可能性あり
マジックテープはエフェクターを固定するためのものなので、接着剤もそれなりに強固なものが使用されています。
対して、中古で売りに出すときは極力新品同様のキレイさが求められます。同じ楽器ユーザー同士で取引されるオークションであっても、やはり新品に近い方が高い値が付きやすい傾向があります。マジックテープを剥がして出品しようする人もいますが、その際に「塗装が剥がれた」「部品が壊れた」「接着剤がどうしても取れない」と言った二次災害を起こすことがあります。
実際に私のエフェクターも、マジックテープで電池ボックスが壊れてしまいました。
中には諦めて最初から「マジックテープ付き」と出品する人もいますが、値引きしていても売れ残っている光景は度々見ます。
上記の過程を経て、マジックテープでエフェクターを固定することはもはやよろしくないものではないかという結論に至りました。これらの問題点はいずれも私自身経験したことがあり、特に移動中に固定が解除されてしまい、ケーブルが断線したこともあり、看過できないなと考えていました。
代替品の試行錯誤
一般的な「マジックテープで貼り付けるタイプのエフェクターボード」では、接着方法に問題があってよろしくない。
では、どういった接着方法ならばいいのだろうか?
数パターン試してみました。
代替案1.スノコにネジ止め
押し入れなどに入れる木製の土台「スノコ」にネジ止めすることを考えました。割とこの方法をとっている人は多いようですね。
ネジを止めには、お風呂のチェーンなどに使用される金具(カップリング)を利用。これをエフェクターの裏蓋のネジに一方を通し、もう一方をスノコにネジ止めしていく方法です。
スノコ自体の耐久性も気になるところですが、もともと押入れに入れて物を乗っけることを想定している道具であるため、エフェクトの切り替えで一瞬踏む程度では問題ありませんでした。
問題は運搬をどうするか。
どうしても大きなサイズになってしまい、結局88鍵のフルサイズキーボードケースを購入。しかし、縦はちょうどでも横がブカブカすぎて、運搬に問題を来したため断念。
代替案2. ペダルトレイン×結束バンドを使用
運搬時のケースが問題だったら、専用のケースがあるものにくくりつければ良いじゃないか!と、丁度いいタイミングでペダルトレインを譲ってもらえたので試行。
固定には、コードなどを縛るのに使われるプラスチックの結束バンド(インシュロック)を利用。
固定の質については満足、多少ずれることはあっても、落ちることはない。
問題は、固定するための結束バンドが良い長さのものがないということ。
結束バンドは長くても30cm、これをエフェクター周りにぐるっと巻き付けて、その上でペダルトレインのバーをまたぐとなると一箇所あたり数本必要になる。
つけ外しする度に2~3本のインシュロックをくっつけて~を繰り返すのは面倒くさいし、意外と結束バンドの費用と購入しにいく手間もかかる…
稼働期間は最も長かったものの、これも断念。
代替案3. コンパクトエフェクターを使わない
もう…エフェクターを並べるのが悪いんだ!という発想に至り、マルチエフェクターを購入。
これまたちょうどよくZOOMからB3nが発売されたばかりだったので、これ1台にまとめてしまおうと。
しかし、狙いの音がコンパクトエフェクターで出来上がっていたために、「今まで出せなかった音が出るけど、出せてた音がでない」というジレンマに陥り、結局はコンパクトエフェクターでエフェクターボードを作る方向へ回帰。
仕様決定
「あれもヤダ、これもヤダ」と続いているが、それぞれやってみてわかったことがあった。
まずネジ止め式は採用したい。これは最も安定性の高い固定方法だった。
確かに着脱の際にドライバーが必要になるが、安定性と機能性を考えると気になるほど面倒ではなかった。
ベースのメンテナンスのために必要最低限の工具はベースのギグバッグに入れていることもあり、プラスドライバーの一本足してもそう荷物は変わらない。
よって、ネジ止め式は採用したい方式としました。
次に、ボードの下をケーブルが通れることの利便性。
これは、ペダルトレインのように平面上に這わせておくと邪魔なケーブル類をボードの裏面に通してしまうという方法。
電源ケーブルとパッチケーブルを分けやすくなるなど視認性の向上が見られたので、必須ではないものの、いざというときにできると嬉しい。
そして、カートに入れて持ち運びできることはやはり大事だということ。
マルチエフェクター1台で済ませた時は本当に身体の負担が驚くほどに少なく済んだ。
演奏前に手を疲れさせないこと、また特に私が住んでいる地域は東北地方なので、路面凍結による転んだ時のリスクを上げたくない。
以上が私が希望するエフェクターボードの仕様になります。
木工でDIY
そんな都合の良い物があるだろうかと探していたところ、神田商会より出ているじゃないですか!
残念ながら既に生産終了品ですが、こういった仕様で制作するのが良さそうですね。
ただ、これと同じようなものを自分で制作すれば、好きなサイズで出来上がるという点はすごく良いです。
また、木の板にゴム足をつけてかさ上げし、必要ならばボードの裏側にケーブルを這わせる。
板自体は持っているエフェクターボード/ケースに収納して持ち運びすることができる。
これならば、すべての要件を満たすこともできる上に、ある程度の大きさの物を作ることもできて、当面困らなさそうです。
次回は採寸から図面まで進めてみようと思います。
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