「ZOOM B3n|プリセットのサウンドサンプルの解説 1/2」に続いて、以前投稿したZOOM製ベース用マルチエフェクター「B3n」のプリセット解説をします。
動画の中では、実際に弾いてみて『こういうのはどうだろう?』と特徴を探しつつ、それに合いそうなフレーズで弾いています。
前回の記事では半分ほどまで解説していますね。今回はこの続き、動画では2:29辺りからの解説を行っていきます。(↓前半部分の記事)
プリセットの紹介と解説 その2
今回は動画中の7~13番の解説をしていきます。
前回同様、後半でもマルチエフェクターならではのパッチやシンセサウンドを盛り込んでいます。
07. 072:Arp
シーケンサー/アルペジエーターを主軸としたパッチですね。最後の方でLowBを入れていますが、自然に馴染んでいるところが、また良いですね。
デモは全て2分音符と全音符、いわゆる「白玉」で弾いています。つまりは音を伸ばしているだけで、色んな音が出ているのがわかると思います。
個人的には好きなパッチなのですが、惜しいところとしてはSPEEDがBPMではないこと。この手のサウンドを活かそうと思うと、ダークな感じのテクノなどダンス系が合うと思います。しかし、ダンス系のほとんどが同期させて弾く必要があるため、BPMで拍が取れないのは少し残念。ただ、事前準備で手探りでSPEEDを探しておくなら、手間だけどイケるかも?
08. 047:Chopper
いかにもな感じのスラップサウンド。極端なドンシャリに、素早いコンプで一気に潰す。わかりやすいサウンドです。
ただ、パッチの中身を見ると、EQでは意外とローを足していないことがわかります。そのかわり、Bass D.I.(プリアンプ)側でローとミッドを足しているので、トータルでバランスが取れているのだと感じました。普通にドンシャリにしようとすると、どうしても低音がこもったり、音割れが生じてしまうことがあります。この辺の作り方は、『さすがメーカーのプリセット!』と思わず唸ってしまったところです。
ちなみに、スラップを「チョッパー」と呼ぶのは日本くらいだそうです。日本でも最近は「スラップ」で統一されてきたので、「チョッパー」という名前はかつての“まんまの音”を狙って作ったのかな?と。
09. 098:Fantasy
動画中唯一の「公式が発売後に追加したパッチ」です。なので、098とパッチ番号を記載していますが、これは人によって違うと思います。投稿してからこの事実に気がついた…!
これもマルチエフェクターならではのサウンドですね。アンプとキャビネットから出た音にリバーブをかけるとか、普通にやろうとしたらPAが拒否します。あと、自分自身でコントロールも出来ません。それを足元だけでコントロールできる所が、こういうマルチエフェクターの優れている点ですね。
サウンド面では、ゆらぎのある残響感と元の音がミックスされている、まさにFantasyという幻想感がピッタリの音色です。動画中で弾いているのは私のオリジナル曲なのですが、こういうコード弾きで伴奏を担当すると空気感が出て良いのではないでしょうか?
10. 049:RockPhaser
定番のフェイザーサウンド。200Hz辺りを持ち上げているので、音が太く聞こえるようになっていますね。 そこに軽い歪を乗っけていますが、フェイザー成分がハイまで出ているのはこの歪が関係しているようです。
指弾きでミドルテンポで弾いていますが、多分ピックでガリガリ8分・16分刻むほうがあっているかもしれません。一番最初にコンプがガッツリ効いているので、多少荒々しさがある演奏をしても、それが返ってロックな感じになりそうです。
11. 048:Cho-Slap
コーラスのかかったスラップサウンドです。意外とスラップにコーラスをかけることが多いので、これもChopper同様使い所は多そうです。
音色的には軽いドンシャリですが、音作りの根幹はSWRのアンプのようです。SWRの実物を演奏したことがある方は分かると思いますが、結構ハイが出ます。だからか、このパッチでは敢えてハイを足さずに、ミッドを弾くことでドンシャリを作っています。
また、アンプのSoloボタンがONになっているので、同じ音色を作って、ソロとバッキングとで使い分けると良さそうです。そういった観点では、このままでフュージョンとかで活躍できそうですね。
12. 014:Rthm-Gtr
多分「Rhythm Guitar」(リズムギター)の略だと思いますが、確かにギターっぽい音が出ていますね。パッチの内容を見ると、普通の人は作らないであろう組み合わせで出来ており、これも思わず『どうやって作ったの?』と興味津々でした。
サンプルでは1・2弦の12フレットあたりで弾いているので、1オクターブ上のサウンドを混ぜているとなると、ギターの音域が出ている計算になります。その上で、最後にパワーコードを弾いていますが、確かに「それっぽさ」は十分に出ています。
リズムギターという名前ですが、ソロをとってメロディーを弾くのもありですね。ブライアン・ブロンバーグ氏をコピーするなら、この音色もありですね(真顔)。
13. 046:Tapping
タッピングに適したサウンド「タッピング」。そのままですね。なので、全編タッピングだけで弾きました。
ハイを出しつつ、リバーブとディレイをかけているので、厚みのあるサウンドが出ています。バラードなどでベースでメロディーを弾く時、ソロをとる時などにも、普通にフィンガーピッキング(2フィンガー)で十分雰囲気が出せます。
実は今回のデモを作っていて、一番気持ちよくなっていたのがこのパッチでした。サンプルの曲も、このパッチで弾いていたら自然に弾けたものです。自分と相性の良い音色は世界を広げるので、とても気持ちいいですね。
世界が広がるマルチエフェクター
さて、これでサンプルで使用したパッチを全て紹介した形になります。語ればまだまだ出てきますが、語るよりも弾いたほうが楽しいし、各人の実感は変わってくるので、ぜひ触ってみると良いと思います。
Tappingの中でも書きましたが、自分と相性の良い音色は自分の世界を広げてくれます。時に自分の実力不足を明らかにしてくる音色もありますが、良い意味で「今の自分」を知るキッカケになるのもマルチエフェクターの魅力だと感じています。
どうしてもマルチエフェクターを買うと、まずは自分のエフェクターボードの再現に入ろうとしてしまうことが多いと思いますが、モデリングされたエフェクターでもニュアンスが違ったり、自分が欲しい音色があったりと、プリセットの世界は意外と奥が深かったりします。
だから、マルチエフェクターを買ったら「まずはプリセット」を基本にし、良いと感じた音色があればそれを元に少しずつカスタマイズしていく。足りない部分やどうしても出したい音色があれば、自分でパッチを作るという順番が、私のオススメです。
その視点で、「ZOOM B3n」は安いし、モデリングされたエフェクターがあるので、一人で楽しむもよし、アンサンブルで楽しむのも良しな、良いマルチエフェクターだと思います。
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