2016年に購入したベース、HISTORY「LH-BJ5」。
正確には「LH-BJ5A/R」、カラーが2色あるうちのウォルナットの方になります。
通常のジャズベースタイプのこのモデルですが、いくつか通常のジャズベースと異なる点があります。その点が購入に至った理由でもあるのですが、楽器紹介と共に魅力だと感じたことを今回まとめます。
どんな楽器?
ザックリ説明すれば、「2BandEQのついたActiveと、ToneコントロールができるPassiveを使い分けられる5弦ベース」。
それまで使っていたベースが35inchだったのですが、35inchが体にあっていないのではないかと悩み始め、そこから探し出したベースです。
もともとHISTORYのベースは1本持っており、その音や弾きやすさは気に入っていたこと。そして、同系列廉価ブランドCOOL Zの5弦ベースが過去に弾いてとてもストレスなく楽しめたという経験から、このベースにたどり着きました。
ちなみに、同モデルのナチュラルについては、Project BのTMMK氏が試奏された動画があります。
スペック
- ボディ:ライトアッシュ(2P)
- ネック:ハードメイプル(1P)、KTS社製チタンレインフォースメントバー×2本
- フィンガーボード:ローズウッド
- フレット:21フレット(SBB214)、サークル・フレッティング・システム
- スケール:34inch(864mm)
- ネックジョイント:ボルトオン
- ペグ:GOTOH GB11
- ナット:牛骨(Width: 48mm)
- フロントピックアップ:HISTORY HBJ-5/n(Ceramic)
- リアピックアップ:HISTORY HBJ-5/b(Ceramic)
- コントロール: 2VOL,2EQ(Treble/Bass), PassiveTone
- プリアンプ:AGUILAR OBP-2(9V):40Hz ±18dB、6.5kHz ±16dB
- アウトプットジャック:SwitchCraft
ToneノブをPush:アクティブ、Pull:パッシブに切り替えができる点も特徴です。あと、ボディとヘッドがウォルナット塗装になっているのも良いですね。なかなか他に見ないので、初めて合った人にも声をかけられます。
HISTORYってどこのブランド?
HISTORYは島村楽器のオリジナルブランドです。製造は国産ギターの雄「フジゲン」なので、質的にも問題ないです。
一応島村楽器のウェブサイトを見るとフジゲンの名前は載っていませんが、多方面で語られていることですし(wikiにまで載ってる)、サークル・フレッティング・システムはフジゲンの特許なので、明らかです。
フジゲンは日本のギター産業を大きく支えてきた会社で、フジゲン銘で出されている5弦ベースを弾いてもやはりしっかりとしたいい音が出るので、個人的にはとても信頼しています。
そんな製造元が作り、自分でも持っているベースが気に入っているのであれば、信頼しないわけ無いでしょう!と、私は好きなブランドです。知恵袋では蛇蝎のごとく嫌われていますが、一番は自分で弾いて気にいるかどうかですね。
サークル・フレッティング・システムって?
サークル・フレッティング・システム(以下:CFS)フジゲンの特許で、フレットを円弧状に広げることで弦の長さを一律にし、各弦ごとのピッチ差を無くすための仕様です。
なのですが、残念ながら私はどこまでピッチが正確に鳴っているかわかりません^^;
それは、同じ仕様のベースでCFSの有無という条件下で比較をしなければどのくらいの効果が得られているかわからないからです。あとは、数値上でも計測・比較しないといけないですね。
ただ、バズ・フェイトン・チューニングシステムやファンフレットなど、ピッチについては各社が創意工夫を凝らし、より正確な、あるいは豊かな音色になるように試行錯誤をされています。CFSもその一つだと考えると、ベストに向かって施策してあるという事実は安心できる要素だと思います。
ここを推したい魅力!!
…で、特にこのベースだからこその部分を説明したいです。
リアピックアップがよりブリッジ寄り
リアピックアップは「音の輪郭を作る」「音が固くなる」とよく言われますが、それを狙っての仕様です。音程感を持たせるために、通常のジャズベースよりも後ろ側にピックアップが付いています。
リアピックアップよりでは音が固くなるから嫌だという人もいると思いますが、実際のところ、この位置では音の固さは気になりません。通常通り、ロックからジャズまでこれ一本で行っていますし、むしろ前よりも音が良いと言われるほどです。
音が固くなるとかどうとかの問題は弾き方にも問題があり、その部分を考えると「あ、良い音だな」と思えるこの楽器はストレスなく弾けています。
ちなみに、過去にYAMAHAとネイザン・イースト氏がブリッジの位置でどれだけ音が変わるかやってみたことがあるそうですが、その結果が今のBBになっているそうですよ。
アクティブとパッシブで音量差がない
もしかすると、このベースで一番気に入っている部分かもしれないこの要素。Toneのつまみを引くとパッシブになるのですが、その際にノイズもなく、音量も変化しないというのが特徴です。
通常ですと、アクティブの方が音量があり、パッシブは控えめになっていることが多いです。「それを利用して曲調の変化に対応可能!」という楽器が多いですが、それだとToneを絞った音質でボリュームを上げたいとき(ジャズのソロとか)とかでは利用することが出来ない。いいムードで来ていたのに、ソロになった途端に音が固くなるベースとか嫌です。そして、そのためにペダルを足すのも嫌です。同様の理由で、シリアル/パラレルスイッチも好きじゃないです。ごめんなさい。
でも、音量が変わらなければ通常時はアクティブでノイズ対策、Toneを絞った甘い音とすぐに交代可能。あるいは、アクティブでEQを効かせ、パッシブにした際にDRYな音に戻すといった調整ができる。何より、ペダルの音量コントロールをいちいち考えないで良い。手元でアクティブ/パッシブ切り替えると同時にペダルを踏むってアホくさいじゃないですか。
別にAll in Oneのベースである必要はないのですが、アクティブとパッシブを切り替えられるというのであれば、この部分は取り回しの良さにつながると考えているので、本当に気に入っています。
34インチの5弦ベース
5弦ベースの多くが35インチと通常のベースよりもネックが長くなっています。
ネックを長くする理由は、5弦のLowBが弦が太いことで音像がぼやけやすく、これを回避するためにテンションを稼ぐことが挙げられます。
ただ、35インチってちゃんと調整していないと結構弾きにくいんですよ。私はそれで体が痛いなーって感じることがあったくらい。(後にちゃんと調整してもらったら、35インチが原因とは限らないことが判明しましたが)
他の人もそれは感じているようで、Dragonflyは34.5インチ、MayOnesは34.25インチなど良いポイントを探しているのが伺えます。
しかし、世界的なプレイヤーを見ると他弦だからといってスケールを伸ばす必要はないことがわかります。DirtyLoopsのヘンリックや上原ひろみバンドのトニー・グレイなど、33インチのベースを弾いています(ヘンリックは特殊ですが)。
だから、34インチで弾いてみて、音色やピッチに問題がないようであれば、スケールのサイズなんて問題ないと思います。CFSが利いているんでしょうか? このベースでは問題を感じませんでした。むしろ、34インチである分、プレイアビリティが向上しているので、このベースは十分に魅力的です。
安心して技術向上に向き合えるベース、演奏して楽しいベース
ベースという楽器は未だ発展途上で、こうすれば良いという完全回答がないです。だからこそ、弱点を一つ一つ見つけて、それを潰していく作業が必要になります。
このモデルは、工夫を凝らしたからこそ5弦ベースだけど弾きやすく音も良いという好例なのではないかと感じました。だからこそ、試奏した日に買ってしまうほど気に入った一本でもあります。
ハードの不安要素を排除しきったら、後はソフトの問題。ベースに対して自分が感じている不安要素を全てメーカーが言葉で対策されているのであれば、自分は上達や演奏に集中しやすくなると考えています。
その上で、EQの幅や効きもよく、多種多様なジャンルに飛びこんでいける良いモデルだと本当に思います。買ってから新しいベースを買おうという物欲は全く無く、次はフルオーダーがほしいなと考えているくらいですね。それくらい気に入っていますよ。
これがレギュラーラインナップではないことがもったいない。そう思わせてくれる一本であることに感謝しています。
関連リンク
島村楽器のプレスリリースなど見つかったので、追記しておきます。
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